| ― なぜまたパチンコ業界に。
知り合いの果物屋が、パチンコ屋に果物を景品として卸してて、ずいぶん羽振りがよさげだった。こりゃマネするしかない。さっそく近所のパチンコ屋に営業に行ってみた。でも最初はぜんぜんダメ。相手にもされなかった。
― なんででしょうね。
パチンコ屋の立場から見ると、スルメ一枚、さきいか一袋だと、景品としてパッとしないわけ。でも、そこであきらめずに提案しなおしたら、飛ぶように売れ始めた。
― どんな提案を。
さきいか20袋分ぐらいを、でっかい袋に詰め直して「ジャンボさきいか」とか提案してみたら、ウケたんだよ。一袋だと景品としてセコイけど、20袋分がドカンと一つの袋に入ってると、「戦利品」の雰囲気が出るわけ。パチンコやる人って、家でもお酒飲むこと多いから、「大量のさきいか」は酒の肴に長く使える。お客のニーズに合ってたんだよね。
― なるほど。でも、そのやり方、競合がマネしてくるのでは。
マネはなかったな。普通の珍味問屋は、アタマが固いからスーパーとかコンビニ向けの商品しか開発しない。パチンコ屋向けにわざわざアイテムを増やしたりしないわけ。競合もいないから、スーパーみたいに値段を叩かれることもなかったし、けっこう上手くいっていた。
でも、そのうち「いつまでもパチンコ業界だけが相手じゃマズい」と思えてきたんだよね。
― マズいとは?
その頃、パチンコの換金率が急に高くなってきた。換金率が上がるっていうのは、出玉を、景品じゃなくてお金に替える人が増えるってこと。ということは「ジャンボさきいか」の需要も減って、ウチの売り上げも下がる、そう予測したわけ。こりゃ別の売り上げの柱を作んなきゃなと。
むしょうに「広告」がやりたかったな。問屋の商売は、広告で大きくできない。でも、ビジネス書には、ダイレクトレスポンス広告でビジネスが倍々に成長する話が載ってる。チクショー、オレも広告やりたいな〜って。
そんなある日、インターネットと出会ったんだよね。
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